学究社グループユニオン(GGU)サブページ1


 東京都労働委員会への不当労働行為救済申立て


                        調査・審問 資料



                 都労委 和 解 協 定 書



                                               和 解 協 定 書

  申立人ユニオンイースト(以下「組合」という。)と被申立人株式会社学究社(以下「会社」という。)とは、都労委平成26年不第71号事件(以下「本件」という。)について、下記のとおり協定する。

                                                                記

1 組合と会社とは、組合から組合員の範囲を議題とする団体交渉の申入れがあった場合、交渉を誠実  に実施することを相互に確認する。
2 組合は、本協定書締結後、本件申立てを速やかに取り下げる。


    平成27年12月2日
                                          申 立 人   ユニオンイースト
                                                                       執 行 委 員 長  
                                                                     代理人弁護士   官里 民平
                                                                           同      徳住 堅治
   
                                          被 申 立 人      株式会社学究社
                                                                       代 表 執 行 役  河端 真一
                                                                       代理人弁護士   八代 徹也

                                          立 会 人   東京都労働委員会
                                                                       審 査 委 員  川田 琢之
                                                                       参 与 委 員  青木 美仁
                                                                       参 与 委 員  八木 和則




          
        
不当労働行為救済申立書

                           平成26年7月25日
東京都労働委員会会長 房村精一 殿
                申立人ユニオンイースト
                    執行委員長 
       
申立人    〒113-0033

       東京都文京区本郷6-2-10-902
                           ユニオンイースト
                           執行委員長                                      

被申立人   〒160-0023
        東京都新宿区西新宿三丁目16番6号
                        株式会社学究社
                        代表取締役 河端真一

 被申立人の申立人に対する次の行為は,労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるので,審査の上,下記の救済命令を発するよう申し立てます。

            請求する救済命令の内容

1 被申立人は,申立人が,平成26年4月11日「14年第2回 団交要求書」でなした「1 地区長は利益代表者(労働組合法2条但し書き1号)に該当しないことの確認」及び「2 地区長は管理監督者(労働基準法41条2号)に該当しないことの確認」に関する団体交渉の申し入れを拒んではならない
2 被申立人は,縦1メートル横70センチメートルの白紙に下記の文書を楷書で
墨書して,これを被申立人本店の正面玄関の見やすい場所に,命令書写しの日か
ら7日以内に1カ月間掲示しなければならない。

                                 ○年○月○日
                  誓約書
     
ユニオンイースト
執行委員長 A 様
                    株式会社学究社
                       代表取締役 河端 真一         

 当社が,貴組合が平成26年4月11日「14年第2回 団交要求書」でなした「1 地区長は利益代表者(労働組合法2条但し書き1号)に該当しないことの確認」及び「2 地区長は管理監督者(労働基準法41条2号)に該当しないことの確認」に関する団体交渉を拒否した行為は,東京都労働委員会において労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認定されましたので,今後このような行為を繰り返さないように誓約します。
            本件不当労働行為を構成する具体的事実

第1 当事者
1 申立人
  申立人は,ビルメンテナンス業や教育産業等で働く労働者を組織する個人加入の労働組合である。
2 被申立人
 被申立人は,中学・高校・大学への受験指導を行う進学塾の運営を業とし,資本金8億668万円で,JASDAQに上場している。
 被申立人は進学塾の各校舎を設けており,校長が各校舎を統括する。また,地区毎に校長の中から地区長を選任し,月に1回,地区長会議が行われる(甲1)。
なお,以前は副地区長を設けていたが,平成26年3月,何の説明もなく廃止された。

第2 本件の経緯
1 平成24年11月以降,申立人と被申立人の間で,継続的に地区長及び副地区長が管理監督者に該当するか否かについて団体交渉を行っていた。
  後述するとおり,地区長には人事権や労働時間の裁量等がなく,また被申立人も地区長・副地区長に対して時間外手当を支給していた事実があり,管理監督者に該当しないことは明らかであった。
2 団体交渉を継続していたが,平成26年2月25日,被申立人は申立人に対し管理監督者に該当する組合員が存在するのか,存在するのであれば氏名を明らかにしなければ団体交渉を行わない旨通知した(甲2)。
 しかし,申立人は,管理監督者に該当する組合員が存在するか否かに関係なく,管理監督者該当性について団体交渉を拒否することはできないと考え,組合員の氏名は明らかにしなかった。
 さらに,申立人は,組合を組織するうえで,地区長の地位にあるものも組合員となる資格があるか否か,すなわち地区長が「利益代表者」(労働組合法2条但し書き1号)に該当するか否かについて,会社との認識を共有する必要があると考えた。
3 そこで,申立人は,被申立人に対し,「14年第2回 団交要求書」をもって,利益代表者に該当しないことの確認(以下,「団交事項①」という。)及び管理監督者に該当しないことの確認(以下,「団交事項②」という。)を要求した(甲3)。
 それに対して,被申立人は何ら回答しなかったため,申立人が再度要求したところ,被申立人は,組合員の氏名を明らかにしない限り団体交渉を行わない旨の回答であった(甲4)。

第3 不当労働行為にあたること
 1 団交事項①について
(1) 団交事項①は,組合の組織範囲に関する事項であり,義務的団交事項に当たることは明らかである。
(2) また,利益代表者の参加を許す労働組合も労組法7条2号の「労働者の代表者」に含まれるから,仮に利益代表者が参加していても,それ自体団交拒否の正当な理由にならない(セメダイン事件・東京地判平11.6.9労判763号)。
  したがって,組合員の氏名を開示しないことをもって団体交渉を拒否することは許されない。
2 団交事項②について
 組合員が地区長を組合員として組織することもあり得るのであり,地区長が管理監督者に該当するか否かは,組合員の労働条件に影響を及ぼすものである。
 したがって,地区長を組合員として組織する蓋然性があり,団交事項②は団体交渉事項として認められ,組合員の氏名を開示しないことが団交拒否の正当な理由にならない。

第4 利益代表者・管理監督者について
 1 利益代表者にあたらないこと
(1) 利益代表者に当たるか否かは,団結自治に関わるものとして労働組合が自主的に決定できるという原則と,使用者との対等性の確保という観点から,団体の自主性が実質的に損なわれるかどうかを,個別的・具体的に判断すべきである。
(2) 地区長の権限は,「学究社 職務権限表」(甲5)によれば,経営への関与権限,経営計画,事業計画,予算作成等についての権限はなく,校舎開発に関する事項や建物・備品等の管理に関する事項についての権限もない。人事権(異動,昇進,降格,人事考課,採用,給与体系)もまったく有しておらず,地区長が利益代表者に該当しないことは明らかである。
 2 管理監督者に当たらないこと
  管理監督者とは,①職務務内容,権限および責任に照らし,労務管理を含め,企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか,(=経営者と一体的な立場において,同法所定の労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されてもやむをえないものといえるような重要な職務と権限を付与されているか),②その勤務態様が労働時間等に対する規制になじまないものであるか否か,(=労働時間に関する自由裁量性があるか),③給与(基本給,役付手当等)及び一時金において,管理監督者にふさわしい待遇がされているか否か(=他の一般労働者に比べた優遇措置)などの諸点から判断される。
  前述のとおり,地区長には,①事業経営に関する重要事項に全く関与していないし,②授業等によって勤務時間が定められており,労働時間に対する規制がなじまないものではなく,実際に労働時間についての裁量はない。さらに,③管理監督者として特別の措置もとられていない。
  したがって,地区長は,管理監督者には当たらない。
第5 結論
  以上のとおり,地区長は,利益代表者に当たらないこと,管理監督者に当たらないことは明らかであるが,これらの事項について,被申立人と認識を共有する必要があり,被申立人の団交拒否は,労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であり,速やかに救済命令を発せられたく申し立てる次第である。
                                            以上



                会社 答 弁 書

平成26年(不)第71号
申立人   ユニオンイースト
被申立人  株式会社学究社

                                平成26年 8月 7日
東京都労働委員会会長 殿
                      被申立人 株式会社学究社
                           代表執行役 河 端 真 一

                  答 弁 書

第1 請求する救済内容に対する答弁
   本件申立てを却下または棄却する。

第2 請求する救済内容に対する被申立人の主張
1 申立人の請求する救済内容第2項のポストノーティスは、被申立人に対し「・・・誓約します」とされており、被申立人の内心の問題である「誓約」を求めるものであって、採り得ない命令である。
2 不当労働行為救済申立にあたっては、労組法2条及び5条に定められた資格要件が必要である。
 よって、組合規約の提出及び労組法5条2項7号に定める「職業的に資格がある会計監査人」の氏名を明らかにすることを求める。あわせて、その会計監査人による同号に定める証明書が添付された会計報告の写しの提出を求める。
 それによって、却下答弁を行うこともある。

第3 被申立人の主張
1 団体交渉は、労働組合それ自体の権利義務又は組合員の労働条件について行われるものである(本件で前者は問題となっていないので、後者が論点となる)。
 組合員の労働条件に限って団体交渉議題となることは、労働組合法第1条において、「労働者がその労働条件について交渉するために・・・・労働組合を組織し、・・・・使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること」と記載されていることからも明らかであり、また、労働組合に加入する積極的団結権と同様に組合に加入しない消極的団結権を保障していることからも明らかである。
 即ち、団体交渉議題は組合員の労働条件に限定されるものであり、非組合員の労働条件は同議題にはならない。非組合員(組合に加入しないという選択をした労働者)の労働条件を組合と交渉し、労働協約を締結するということは背理だからである。 
2 申立人が本件で救済を求めている平成26年4月11日付団体交渉要求書ということが何を示しているのか分らないが、同年2月21日付団交要求書(甲2)でいえば、「地区長・副地区長に対する残業代・休日出勤手当を支払うこと」が団交議題である。
 とすれば、当然、上記1の論理から、その申入れ時点で「地区長・副地区長たる組合員」が存在していることが団交の前提要件である。
 よって、被申立人は、これに該当する組合員の存在を明らかにすることを団交の要件として求めた(例えば、甲2に添付されている被申立人の2月25日付通知書)のであり、正当かつ適法な対応である。
 にもかかわらず、申立人は今日まで「地区長・副地区長たる組合員」の存在を明らかにしていないのであるから(申立人もこのことは認めている、申立書第2の2の中段)、地区長・副地区長たる組合員の労働条件について、申立人・被申立人間の義務的団交事項となることはない。
 なお、副地区長については、従来からエリアを統括する地区長と異なり、選任されているエリアもあれば、そうでないエリアもあったものであり、平成26年4月からは、新たな選任はしておらず、現在、副地区長は存在しない。
3 申立人は救済を求める団交議題として、「地区長が利益代表者・管理監督者に該当しないことの確認」も挙げているようであるが、そもそも、その前提として地区長たる組合員が存在しなければ(被申立人にその存在を明らかにしなければ)、団交議題足りえないことは前述のとおりである。
 加えて、「地区長が利益代表者・管理監督者に該当しないことの確認」という確認それ自体が義務的団交議題となることはあり得ない。即ち、管理監督者なり、利益代表者なりについて労使双方の見解が一致することもあれば、対立することもあるであろうが、その一致(つまり確認)を団交議題とすることなど論理的にあり得ないのである。そうでなければ、団交が組合員の労働条件について、労使双方の見解を披瀝し一致した場合は労働協約の締結、平行線のままであれば団交は終了する、という本来の枠組みを壊すことになるからである。
 なお、この前提として申立人の論理は、「申立人と被申立人とが管理監督者なり利益代表者なりについて、その認識を共有する必要がある」というものであるが、それが失当であることは後述の「第5 結論」に対する被申立人の主張のとおりである。
4 以上のとおりであるから、地区長の労働条件について申立人が団交を求めるのであれば、地区長たる組合員の存在(被申立人への開示)が必須の要件であり、それがなされていない本件において、地区長の労働条件を団交議題とすることを拒否した被申立人の対応は正当である。
5 念のためいえば、被申立人は上記地区長以外の、既に判明している組合員の労働条件については、申立人と団体交渉を行っている。

第4 不当労働行為を構成する具体的事実に対する答弁
「第1 当事者」
1 申立人
  不知。
2 被申立人
 前段、中段は認める。地区長とは、被申立人の進学塾(校舎)を16エリアに分け、そのエリア内に存在する校舎の校長の統括者である。
 後段については、争う。前述のとおり、副地区長がいるエリア、いないエリアが存在しており、平成26年4月からは副地区長を選任していないというだけである(現在、副地区長はいない)。
「第2 本件の経緯」
1 争う。前述のとおり、甲2の如く「地区長・副地区長に対する残業代・休日出勤手当を支払うこと」との要求が申立人からなされたので(団交議題として)、被申立人は前述のとおりの対応をした(甲2に添付されている被申立人の2月25日付通知書、及び甲4参照)。
従って、地区長及び副地区長が管理監督者に該当するか否かについて、団体交渉は行っていない。また、行う必要もない。
2 被申立人が甲2に添付されている被申立人の2月25日付通知書を通知したこと、申立人が地区長たる組合員の氏名を明らかにしなかったことは認める。その余は不知ないし争う。
3 申立人が甲3を提出したこと、被申立人が甲4を提出したことは認める。
「第3 不当労働行為にあたること」
1 団交事項①について
(1)前述のとおり、すべて争う。
(2)セメダイン事件が本件と何の関係があるのか分らない。セメダイン事件は利益代表者が参加している労働組合との団体交渉を、これを理由として拒否した事案と聞いている。本件と全く異なることは前述のとおりである。
2 団交事項②について
 争う。地区長が組合員となるかどうかという問題と、地区長たる組合員が現に存在するかどうかという問題は別であり、地区長の労働条件を団交議題とし団交要求するならば、地区長たる組合員が存在すること、その具体的氏名を被申立人に開示しなければならないことは当然である(理由は前述のとおり)。
「第4 利益代表者・管理監督者について」
 申立人の主張は本件と全く関係がないので認否しない。その理由は、前述のとおりである。
「第5 結論」
 争う。
そもそも、特定の議題や特定の事項について「申立人と被申立人とが認識を共有する必要」などないし、その認識を共有するために団体交渉が存在するのではない。
 団体交渉は、労使それぞれの立場から、組合員の労働条件について協議し、妥結することを目的とするのであって(結果として妥結できないことも当然あり得る)、労使双方の認識を共有するために行われるものではない。つまり、申立人の主張はその前提から誤っている。

                                          以 上




            組合 準 備 書 面(1)            

平成26年(不)第71号事件
申立人  ユニオンイースト
被申立人 株式会社学究社

       
             準備書面 (1)

東京都労働委員会会長 殿
                                   平成26年11月4日

                              申立人代理人弁護士 徳住 堅治
                              同         宮里 民平

 被申立人提出の答弁書について、次の通り反論する。

第1 団体交渉拒否する「正当な理由」に関する、被申立人の答弁書での主張を整理すると、次のように要約できる。
  ① 団体交渉議題は組合員の労働条件に限定され、非組合員の労働条件は同議題にはならない。
  ② 申立人は今日まで「地区長・副地区長たる組合員」の存在を明らかにしていないのであるから、地区長・副地区長たる組合員の労働条件について、申立人・被申立人間の義務的団交事項となることはない。
  ③ 「地区長が利益代表者・管理監督者に該当しないことの確認」という確認それ自体が義務的団交議題になることはあり得ない。申立人と被申立人とが認識を共有する必要などないし、その認識を共有するために団体交渉が存在するのではない。

第2 被申立人の団交拒否には「正当な理由」がない

1 本件団交拒否の経過
  平成26年4月11日申立人は、被申立人に対して、①地区長は利益代表者(労働組合法2条ただし書き1号)に該当しないことの確認(以下「団交事項①」という)、②地区長は管理監督者(労働基準法41条2号)に該当しないことの確認(以下「団交事項②」という)を交渉議題とする団体交渉を申入れた(甲17)。
  これに対して、被申立人は、同年5月8日付回答書(甲4)により、「会社は従前より、組合に回答している通り、組合員の中に今回の議題である地区長(管理監督者)の存在を明らかにされない限り、今議題での団交はできない。」との理由で、団体交渉を拒否してきた。

2 被申立人の団交拒否には「正当理由」がない

(1) 団交事項①について
ア 団体交渉の義務的団交事項は、「組合員の労働条件」に限定されるのでなく、労働組合と使用者(その団体)間の関係を運営する諸事項も義務的団交事項である(菅野和夫「労働法 第十版」638頁)。

イ 利益代表者について、労組法2条ただし書き1号は、「役員、雇入解雇昇進又は移動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのために職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの」と定めている。そして、労組法は、利益代表者の労働組合への加入(参加)を認めていない(同2条)。労組法上非組合員とされるのは、①役員、②「雇入解雇昇進又は移動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者」(人事権をもつ上級管理者)、③「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのために職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者」(労務・人事部課の管理者など)、④「その他使用者の利益を代表する者」(社長秘書・会社警備の守衛など)の4つの範疇である。
 つまり、労組法2条ただし書き1号の利益代表者を組織対象者とした場合、労働組合は、労組法上の労働組合としての適格性を失うことになる。

ウ 組織対象者となる労働者が、「雇入解雇昇進又は移動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者」や「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのために職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者」に該当するかどうかは、その職位、業務内容、業務上取扱う機密の内容、職務権限などの具体的事実を踏まえて、判断せざるを得ない。
 企業別組合が一般的なわが国では、利益代表者であるかどうかを検討した上で、使用者と組合との間で、組合員・非組合員の範囲を線引きして、労働組合の組織範囲を労働協約で定めることは一般的に行われている。

エ 団交事項①は、地区長が利益代表者でないことの確認を求めたものであり、組合員の範囲を確定するためのものであり、労働組合と使用者(その団体)間の関係を運営する諸事項として、義務的団交事項である。
 しかも、労働組合の組合員としての組織対象範囲を確定しようとするものであるから、現実に労働組合員が存在するかどうかを問わないものである。従って、被申立人の「組合員の中に今回の議題である地区長(管理監督者)の存在を明らかにされない限り、今議題での団交はできない。」との団交拒否理由は、「正当な理由」とはなり得ない。

(2) 団交事項②について
ア 労働組合は、一般的には、組合員の労働条件その他の待遇についての団体交渉権を有し、非組合員のそれについては団体交渉権を有しないことは、被申立人の主張する通りである。
 しかし、非組合員の労働条件問題が、組合員の労働条件問題と共通ないし密接に関連するものである場合、または組合員の労働条件に重要な影響を与える場合(「根岸病院事件」東京高判平19.7.31労判946頁58頁)には、使用者は団体交渉義務を負うとされている(前掲菅野656頁)。特に、労働組合が組織拡大しようとする際、その拡大対象者の職位の労働条件を団交議題とすることは、組合員となろうとする者の労働条件であるから、組合員の労働条件問題に密接に関連しているといえる。

イ 管理監督者については、行政解釈では、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体の立場にある者の意であり、名称の如何にとらわれず、実態に即して判断すべき」(昭22.9.13基発17号など)とされている。
 判例では、①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること、②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること、③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていることがその法的要件となっている(前掲菅野339頁)。

ウ 地区長が管理監督者に該当するか否かにより、労基法上の労働時間管理を受けるかどうか、時間外・休日手当の支払を請求できるかどうかの結論が異なり、地区長の労働条件が異なってくる。従って、地区長を労働組合員として組織拡大の対象とする場合、または、組合員が地区長に任命される場合にそれを受けるどうかの判断にあたり、地区長が管理監督者に該当するかどうかは、極めて重要な意味を持つ。地区長で組合員になろうとする労働者、あるいは、地区長になろうとする労働者の労働条件に密接に関連してくるのであるから、義務的団交議題となる。労働組合員の地区長が、現実にいるかどうかは関係ない。

エ 団交事項②は、地区長で組合員になろうとする労働者、あるいは、地区長になろうとする労働者の労働条件に密接に関連しており、義務的団交事項である。従って、「非組合員の労働条件は同議題にはならない」、「申立人は今日まで『地区長・副地区長たる組合員』の存在を明らかにしていない」との被申立人の団交拒否理由は、「正当な理由」とはなりえない。

(3) “認識の共有”について
 申立人は、被申立人との間で、地区長について利益代表者および管理監督者に該当するかどうか認識を共有するために、本件団体交渉を申入れたのではない。申立人は、地区長は利益代表者にも、管理監督者にも該当しないとの要求を掲げて、その確認を求めることにより、使用者である被申立人との意見の一致を目指していたのである。申立人は、本件団体交渉申入れにより被申立人との認識の共有を求めたものではなく、被申立人の③の主張は失当である。

第3 これまでの「管理監督者」をめぐる団体交渉について

 1 これまでの「管理監督者」をめぐる団交の経過(甲2の1参照)
① 平成24年11月5日申立人は被申立人に対して「管理監督者の範囲の明示」を求めて団体交渉を申入れた(甲6の2)。
② 平成24年11月9日被申立人は、「副地区長・副部長以上を管理監督者等と考えている」と回答してきた(甲7)。
③ 平成24年12月5日申立人は、「管理監督者の法的要件」を踏まえて、地区長・副地区長、部長・副部長の具体的な責任・待遇等について説明を求めた(甲8)。団交の席で、被申立人は、「管理監督者については、待遇はトータルで考えている」と回答した。
④ 平成25年2月4日申立人は、上記12月5日の団交における被申立人の回答は不十分であるとして、①管理監督者についてどの規定で規定されているのか、②(副)地区長、(副)部長の給与規定はどこに定められているのか、などの質問を行った(甲9)。
⑤ 平成25年2月20日被申立人は、①管理監督者の適用範囲を、副地区長・副部長以上としたのは、管理監督者は明確に就業規則・給与規定でうたっていなかったため、今までの暗黙のルールをはっきりさせたこと、②待遇{手当}の最低額、③責任を示した。また、地区長・副地区長の職責は、各部とも地区長会での運営方針の検討など、部長・副部長は各部の運営に責任を持ち、合せて学部の数値責任を負う、と回答してきた(甲10)。
⑥ 組合からの平成25年6月25日付再質問(甲11)について、同年7月2日被申立人は、ここで初めて事務系と管理系位置付け・処遇が異なり、管理系では部長職以上が管理監督者に該当する旨回答してきた(甲12)。
⑦ 平成25年9月7日申立人は、従業員代表選出と被申立人の管理監督者の範囲の変更にともなう混乱に関する説明を求める団交要求書(甲13)を提出した。
⑧ 平成25年9月26日被申立人は、同年7月2日の回答(甲12)と同じ回答を行ってきた(甲14)。
⑨ 平成25年12月5日被申立人がインターネット上に就業規則をアップロードしたことにより、申立人は、初めて「職務権限規程」(甲5の1)、「社内規定の改定に関する新旧対照表」(甲5の2)、「学究社 職務権限表」(甲5の3)を目にすることになった。
⑩ 平成25年12月20日被申立人は、地区長等(管理監督者)に対する、平成24年12月支給分から同25年11月までの支給分について、不当な時間外手当支給があったとして懲戒処分を行った。併せて、総額20万円を超えた分の一律2割の自主返納を求めた(甲15)。
⑪ 平成26年2月10日被申立人は、人事発令を行った。
⑫ 平成26年2月21日申立人は、管理監督者の問題について、地区長・副地区長等は「管理監督者」にあたらないので、残業代・休日出勤手当の支払いを要求する旨の団交要求書(甲2の1)を提出した。同要求書では、「職務権限規程」に基づく権限では各部長および地区長は「管理監督者の法的要件」を充たしていないのでないか、各部長および地区長の待遇は「管理監督者の法的要件」を充たしていないのでないか、など具体的な問題提起を行った。
⑬ 申立人の団交要求(甲2の1)に対して、平成26年2月25日被申立人は、「組合員が存在するのか。存在するのであれば、氏名を通知されたい。氏名がない場合には、団交は組合員の労働条件につき行うものであるので、当議題についての団交は実施できない。」(甲2の2)と回答してきた。

 2 平成26年4月11日付団交要求書(甲17)はそれ以前の要求とは異なる
申立人が、平成26年2月21日付団交要求書(甲2の1)で、地区長・副地区長は「管理監督者」に該当しないので、残業代等の支払を要求する旨の団交申し入れをしたところ、被申立人から組合員である地区長・副地区長名を明らかにするように求めてきた(甲2の2)。
 申立人は、地区長を組織拡大するにあたり、地区長が労組法上の利益代表者に該当しないこと、労基法上の管理監督者に該当しないことを確認することが主眼であったので、平成26年4月11日付団交要求書(甲17)を改めて提出したのである。同団交要求書は、平成26年2月25日付団交要求書(甲2の1)と異なり、地区長に対して残業代等の支払を直接要求するものではなく、地区長に組合員がいるかどうかは問わない団交議題である。
 平成26年4月11日付団体交渉の交渉事項が、労働組合員たる地区長が存在するかを問わず、義務的団交事項になることについては、第2で述べた通りである。被申立人の団交拒否には、正当な理由がない。



             会社 準 備 書 面(1)


平成26年(不)第71号
申立人   ユニオンイースト
被申立人  株式会社学究社

東京都労働委員会会長 殿

                             被申立人代理人 弁護士 八代 徹也    

                準備書面(1)

   申立人の準備書面(1)について、必要な限度で反論する。
          
1.団交事項について
(1)労働組合は、その組合員の労働条件その他の待遇についての団体交渉権を有するのであって、非組合員の労働条件その他の待遇については団体交渉権を有しないことは、労働組合法上および団体交渉制度上、明らかである(菅野和夫労働法第10版656頁)。そして、この原則は申立人も認めている(同準備書面4頁(2)アの第1段落)。
(2)従って、当該組合の組合員でない者(管理職であろうが、なかろうが)の労働条件は、それ自体としては当該組合の団体交渉権の範囲外となる。
 もっとも、申立人も認めるように、この原則の例外として、根岸病院事件(東京高判平19・7・31労判946号58頁)は「新規採用者の初任給引下げについて、将来にわたり組合員の労働条件に影響を及ぼす可能性が大で、組合員の労働条件との関わりが強い事項として団体交渉義務がある」と判断した(同第一審はこの例外を認めず、団体交渉義務を否定していた)のであるが、上記原則の例外であるため、上記のとおり、新規採用者の初任給が引下げられると、現在の組合員の労働条件(賃金)に影響を及ぼすことが具体的に想定され、かつ、その影響が大きいという事情があったからこそである。いまだ組合には加入していない新規採用者の初任給については、組合員にとって勤続による賃金カーブの出発点(ベース)になるものだから、組合員の労働条件(賃金)と密接に関連し、同賃金に重要な影響を与えるという解釈なのである。
 即ち、斯様な極めて限定的なケースに限って、非組合員の労働条件であっても国体交渉事項に該当するというものであって、単に申立人がいうように「組織拡大をする場合、その組合員となろうとする者の労働条件となるから」義務的団交事項にあたる、というような判断ではない。
 申立人の前記主張の程度で、非組合員の労働条件でも組合との団交事項に該当するというのであれば、労働組合は本質的に組織拡大を目的とする組織であるから、労働者は全て組織拡大対象となるのであり、畢竟、労働者の労働条件は全て義務的団交事項に該当するということになる。
 こうなれば、非組合員の労働条件は義務的団交事項に該当しないという原則は全く無視されることとなり、上記団交の原則など全く意味をなさない。
 よって、申立人の主張は失当である。
(3)仮に、根岸病院事件東京高裁法理を本件で適用する、上記原則の例外となると申立人が主張するならば、地区長の労働条件(副地区長はいないから議論する必要はない)のうち、具体的にどのような労働条件が「将来にわたり組合員の労働条件に影響を及ぼす可能性が大」なのか、また、その特定された労働条件がなぜ「組合員の労働条件との関わりが強い」のかを具体的に申立人は主張立証しなければならない。しかし、そのような主張立証はない。
(4)念のためいえば、根岸病院事件東京高裁法理が対象とした、初任給のように、全ての従業員に適用される賃金(労働条件)であり、かつ、賃金体系上初任給を出発点とし、その後の賃金が決定されているという事情が本件に存在しないことは明らかである。
 (3)の具体的主張立証が存在しないので、述べる必要もないが、仮に、「地区長は労働基準法上の管理監督者に該当しないから時間外手当・休日手当の必要がある」(準備書面5頁ウ)というのであれば、地区長の同手当の存否と組合員の同手当との間で、前者が後者に及ぼす可能性はない。また、組合員の同手当との関わり合いも存在しない。
 組合員は、組合員名簿が提出されていないが、団交に出席している組合員は本部・校舎の一般職員数名だけであるから、それらを組合員と考えるほかないが、組合員には現在同手当が支給されており(念のためいえば、甲1の各校の校長・室長以下の職員には同手当が支給されている)、地区長に対し同手当が支給されようがされまいが、組合員の同手当に全く影響はないからである。
(5)よって、申立人は、申立人組合に地区長が加入しているかどうかを明らかにしないというのであるから、上記原則どおり、組合員ではない地区長の労働条件について、これが義務的団交事項に該当することはない。
2.地区長とは
(1)地区長は、原則として、ある地区の校長・室長の中から選任され、同地区の校舎・教室を統括する。
 例えば、調布・稲田堤・若葉台・橋本・鶴川・稲城長沼の各校(教室)がMS6地区を構成し、同地区長として鶴川室長である高橋智明が選任されている(甲1のMS6地区参照)。
(2)地区長は、労働基準法上の管理監督者として扱われている。
 ただし、校長・室長は同法上の管理監督者としては扱われておらず、時間外・休日手当を支給している。校長・室長以下の職員も同様である。
3.管理監督者、利益代表者と団交応諾義務の関係
(1)従って、地区長の管理監督者性につき、2で述べた被申立人の解釈が正しいとしても、誤っているとしても、地区長が組合員であるとの証明がないのであるから、地区長の労働条件(前記のとおり、時間外・休日手当らしいが)は申立人組合と協議しなければならない義務的団交事項には該当しない。
 また、非組合員たる地区長が管理監督者に該当するかどうかの認識を申立人と被申立人間で共有するための団交に応じなければならない義務も存在しない。
 なお、認識を共有すること自体を団交詰題とできないことは答弁書で述べたとおりである。
(2)労組法上の利益代表者(労組法2条但書きに該当する者、以下同様)に該当するかどうかは、不当労働行為救済命令申立要件にかかる問題であり、利益代表者が加入している労働組合は不当労働行為救済命令申立資格がないということである。
 つまり、地区長の労働条件とも組合員の労働条件とも全く関係がない。
 よって、如何なる意味でも、労組法上の利益代表者に該当するかどうかの認識を労使間で共有することを議題とする団交に応じなければならない、ということはあり得ない。
                                          以 上




            組合 準 備 書 面 (2)


平成26年(不)第71号事件
申立人  ユニオンイースト
被申立人 株式会社学究社

               準備書面(2)

東京都労働委員会会長 殿
                                   平成27年1月21日

                              申立人代理人弁護士 徳住 堅治

                              同         宮里 民平

 被申立人提出の準備書面(1)について、次の通り反論する。

第1 地区長の管理監督者該当性についての団交議題

 1 被申立人は、非組合員の労働条件について団体交渉が認められる範囲について、「根岸病院事件」東京高判を引用して、「非組合員の労働条件が将来にわたり組合員の労働条件に影響を及ぼす可能性が大で、組合員の労働条件との関わりが強い事項」のみに団体交渉義務が発生するとの考え方に基づき、主張を展開している。
  しかし、非組合の労働条件が団体交渉の交渉議題となるのは、「根岸病院事件」東京高判が判示する範囲に限定されるのではなく、原告提出の準備書面(1)で示したように、「非組合員の労働条件問題が、組合員の労働条件問題と共通ないし密接に関連するものである場合、または組合員の労働条件に重要な影響を与える場合」にも、使用者は団体交渉義務を負うと主張しているのである(菅野和夫「労働法 十版」656頁)。被申立人は、「組合員の労働条件に重要な影響を与える場合」に限定して非組合の労働条件の団交応諾義務を認められることを前提に論旨を展開しているが、「非組合員の労働条件問題が、組合員の労働条件問題と共通ないし密接に関連するものである場合」にも団交応諾義務が認められることを看過している。

 2 被申立人に勤務する申立人の組合員らは、従前株式会社進研社が運営する塾部門である進学舎に勤務していた。平成19年12月株式会社進学舎が設立され、進研社の塾事業部門である進学舎が株式会社進学舎に承継された(雇用も含む。)ことにより、組合員らは株式会社進学舎の社員となった。平成24年3月被申立人が株式会社進学舎を吸収合併したことにより、組合員らは、被申立人の従業員となったものである。
進研社(進学舎)時代には、管理監督者についての規程が就業規則等に記載がなく、また具体的に組合員(F・G氏ら4人)で、後日会社から管理監督者であると指摘されていた人もその時点では問題にはならなかった。しかし、組合員の権利である残業代支払請求をめぐって、労使間で、管理監督者の範囲を明確にする必要が生じた。交渉の過程で会社側は「校長以上全て管理監督者である」と主張したが、権限や待遇及び対象者の人数(全従業員の約3割が管理監督者に達してしまうこと)などから組合はそれを認めなかった。その後、会社側は、「給与表M級=幹部用適用者で、かつ、一定の地位以上の者」という主張に変わった。しかし、ちょうど会社が被申立人に買収される問題が浮上し、入試の時期と重なったこともあり、管理監督者をめぐる交渉は中断した状態になった。その後、会社側が見解を述べたのは、進学舎による買収後の平成21年5月11日の労基署の受領印のある給与規程(甲18)であった。同規程20条では、「給与表M級以上の19条(2)の管理職手当が支給されるS号から4号までの者」を管理監督者にする旨定められていた。
 なお、地区長なる役職が出たのは平成20年3月の「進学舎の経営計画」の中であったが、同計画では、地区長は全て取締役の扱いであった。
 その後の役職の変更などで、前述の4人の組合員は、会社から管理監督者に該当するからとの理由から組合の脱退を迫られたりしたこともあり、現実に4人は脱退した。この当時から、誰が管理監督者であるかということは、組合にとっては構成する組合員に関連する重要な課題であった。被申立人が貴委員会に提出した和解案のように、校長以上が管理監督者であるとされるのであれば、ほとんどの組合員は残業代の支給を受けることが出来なくなり、組合員にとっては重大な関心事であった。以上の歴史的経過を踏まえて、地区長の管理監督者該当性に伴う残業代請求権の有無は、組合・組合員にとって重大な関心事になっていた。
 ア 現在組合は地区長の組織化に直面している。組織対象者である地区長(非組合員)が管理監督者に該当するかどうかによる残業代請求権の有無という労働条件問題の解決は、地区長たる非組合員が安心して組合に加入する条件を整えることが出来るのであり、これから組合員となるものの労働条件問題を解決することは、組合員の労働条件問題に密接に関連している。
 イ 地区長が管理監督者であるとして残業代の支払がなければ、前記進研社(進学舎)の時と同様に、地区長を命じられた組合員が、地区長に昇進することになると組合を脱退する蓋然性が高い。従って、地区長の管理監督者の該当性の問題は、組合員が地区長への昇進を受諾するかどうかを考慮する上で組合・組合員にとって重大な関心事であり、組合員の労働条件に重要な影響を与える問題である。

第2 管理監督者をめぐる団体交渉は、平成25年12月~同26年2月で被申立人の態度が大きく変化し潮目が変わった

 1 被申立人における管理監督者をめぐる団体交渉の経過は、申立人準備書面(1)・「第3 これまでの「管理監督者」をめぐる団体交渉について」で述べた通りである。管理監督者をめぐる団体交渉は、平成25年12月~同26年2月にかけて、被申立人の態度がそれまでとは大きく変化して、一方的に強硬な姿勢を見せるようになりで潮目が変わったのである。
ア 平成24年11月5日から同25年9月26日までは、管理監督者をめぐり団体交渉が行われ、労使で意見の交換を行っていた。これらの団体交渉では、組合員の有無にかかわらず、会社組織上どの範囲が管理監督者に該当するについて協議を行い、被申立人は、「副地区長・副部長以上を管理監督者等と考えている」などと回答していた。
しかし、被申立人は、申立人に対する前記見解と異なり、平成25年11月まで一部の副地区長以上(もちろん地区長も含む)の職員にも時間外手当などを支給していた。
イ ところが、平成25年12月に入り、管理監督者をめぐる被申立人の対応が大きく変化して、強硬な姿勢をみせるようになった。
  平成25年12月5日被申立人がインターネット上に、突然「職務権限規程」(甲5の1)、「社内規定の改定に関する新旧対照表」(甲5の2)、「学究社 職務権限表」(甲5の3)をアップロードした。
  平成25年12月20日被申立人は、地区長等に対する、平成24年12月支給分から同25年11月までの支給分について、不当な時間外手当支給があったとして、関係者に対する懲戒処分を行った。併せて、受給した地区長等に対して、総額20万円を超えた分の一律2割の自主返納を求めた(甲15)。
  平成26年2月10日被申立人は、人事発令を行った。
  平成26年2月21日申立人は、管理監督者の問題について、地区長・副地区長等は「管理監督者」にあたらないので、残業代・休日出勤手当の支払いを要求する旨の団交要求書(甲2の1)を提出した。ところが、平成26年2月25日被申立人は、「組合員が存在するのか。存在するのであれば、氏名を通知されたい。氏名がない場合には、団交は組合員の労働条件につき行うものであるので、当議題についての団交は実施できない。」(甲2の2)と回答して、従来管理監督者にめぐる団交に応じていた態度を変更してきた。

2 被申立人が平成25年12月から同26年2月にかけて、管理監督者についての態度を大きく変えて、職務権限規程の一方的発表、地区長等への時間外手当支給を理由とする関係者に対する懲戒処分、支給された時間外手当の一部自主返納と強硬な態度を措置、これまで行っていた管理監督者の範囲をめぐる団体交渉についても、「組合が地区長である組合員名を明らかにしない限り団交に応じない。」との態度をとるようになった。
  被申立人のこのような態度変更の事態において、申立人は、地区長の組織拡大に問題に直面し、地区長が労基法上の管理監督者に該当しないことを確認することが喫緊の課題であったので、平成26年2月25日付団交要求書(甲2)に基づき、被申立人に対して、地区長が労基法上の管理監督者に該当しないことを確認する団体交渉を申入れたのである。




             会社 準 備 書 面 (2)

平成26年(不)第71号
申立人   ユニオンイースト
被申立人  株式会社学究社
                                   平成27年1月16日

東京都労働委員会会長 殿

                            被申立人代理人 弁護士 八代 徹也

               準備書面(2)

 被申立人準備書面(1)についての補充主張である。
1.申立人が団交拒否として救済を求めている団交申入は甲17である。
 この団交申入について、団交拒否が成立しないことは被申立人準備書面(1)で述べたとおりであるが、申立人準備書面(1)によれば、甲17の団交申入事項は「地区長が利益代表者でないことの確認を求めたものであり、組合員の範囲を確定するためのものであ」るから、義務的団交事項となる旨主張する(同準備書面3頁エ)。この点に対し、以下のとおり反論する。
2.甲17をみれば明らかなように、申立人が求めた団交事項は、①地区長は利益代表者(労働組合法2条但書1号)に該当しないことの確認、②地区長は管理監督者(労働基準法41条2号)に該当しないことの確認、の2つである。
 従って、この団交申入事項をみれば一目瞭然であるが、地区長が上記利益代表者や管理監督者に該当しないことの確認が団交議題なのであり、それ以外の解釈はできない(その意味で、団交議題は一義的に明確である)。
 即ち、申立人が同準備書面(1)で主張するように、「地区長が利益代表者でないことの確認を求めたもので」あるが、「組合員の範囲を確定する」ことを団交議題として求めたものではないのである。
3.また、組合員・非組合員の線引き協定(組合員の範囲を労使双方で合意する協定)を締結することは企業においてあり得るが、これらは労使の間の合意であるから、法律上の利益代表者かどうか、管理監督者かどうか、とは直接にも間接にも関係しない。例えば、利益代表者や管理監督者であっても組合員資格がある(組合員となれる)旨の協定を締結することもあろうし、その逆に、利益代表者や管理監督者でないとしても組合員資格はない旨の協定を締結することもあるのである。
 要するに、上記線引き協定は法律上の概念と無関係に行われるものであるから、利益代表者でない・管理監督者でないことの確認など不要なのである。
 しかるに、申立人は上記のとおり、地区長が利益代表者や管理監督者でないことの確認を求めている(それ以外に解釈の仕様がない)のであるから、線引き協定の締結を求めて(申立人が主張する組合員の範囲の確定を求めて)団交申入を行ったということができないのは明らかである。
4.そもそも、申立人と被申立人間の団体交渉において、現在に至るまで「組合員の資格の範囲を団交議題とした」ことなど一度もないし、そのような申入れは全く存在しない。
5.よって、甲17が組合員の範囲の確定を求めた申入れであるから、団交事項に該当するとの主張は全く採り得ない。
6.付言するに、地区長が利益代表者(労組法2条但書1号)に該当するかどうか、地区長が管理監督者(労基法41条2号)に該当するかどうか、それ自体は不当労働行為と全く関係しないから、貴委員会で審理の対象となる事項でない。このことは、これまで述べてきたとおりである。

                                         以 上



            組合 準 備 書 面(3)

平成26年(不)第71号事件
申立人  ユニオンイースト
被申立人 株式会社学究社

                準備書面 (3)
                                    平成27年3月4日

東京都労働委員会会長 殿
                              申立人代理人弁護士 徳住 堅治
                              同         宮里 民平

 被申立人提出の準備書面(2)について,次のとおり反論し,申立人の主張を補充する。

第1 団交事項①が義務的団交事項であること
1 被申立人は,「地区長は利益代表者(労働組合法2条但し書き1号)に該当しないことの確認」との団交事項(甲17)は,利益代表者に該当しないことの確認が団交議題なのであり,それ以外の解釈はできず,組合員の範囲の確定を求めた団交議題ではないと主張する。

2 地区長が利益代表者に該当するか否かの法的判断は,労働委員会が資格審査として行なわれるのが通例である。しかし,団体交渉を経て,利益代表者でない者の範囲について労使間で締結された労働協約が,労働委員会の資格審査などで誤っている旨の法的判断されたとしても,労使関係の運営に関する諸事項が遡って団交議題ではないということにはならない。後に労働委員会の資格審査及び司法判断などで無効とされることがあるとしても,労使関係の運営に関する諸事項について,労使間で団体交渉して,労使で合意したことを労働協約として締結することは一般的にあり得る。申立人は,団体交渉において地区長が利益代表者であるか否かについての法的な最終判断を求めるものでは当然なかった。ある職位の労働者が利益代表者に該当するかどうかの団交議題について,団体交渉において,地区長がどのような人事に関する直接の権限があり,機密の事項に接しているかの説明を受けて,労組法2条但し書き1号の要件に則してその要件充足性を協議することは,労使関係の運営に関する諸事項そのものである。

3 さらに,団体交渉において,「利益代表者に該当しないことの確認」を団交議題とすることは,同時に,使用者と組合との間で組合員・非組合員の範囲を線引きして,労働組合の組織範囲を確認することであり,合意に至れば組合員の範囲を労働協約で定めることになる。このような団体交渉は,企業別組合が多い我が国では,労使慣行として一般的に行われていることである。利益代表者の範囲を確認するとともに,労働組合の組織対象範囲を確認することは,労働組合と使用者(その団体)間の関係を運営する諸事項そのものである。
 以上のことから明らかなように,団交事項①は義務的団交事項に該当する。

4 そして,管理監督者該当性を理由に組合の脱退を迫られた事実(申立人提出の準備書面(2)3頁)があることからして,申立人が,被申立人に対して,労働組合の組織対象範囲の確認を求めて,「地区長は利益代表者に該当しないことの確認」(団交事項①)を団交議題として,団体交渉を求めたことは明らかである。
 仮に,被申立人が団交議題の趣旨が理解できなかったのであれば,被申立人は事前折衝などを通じて申立人に団交事項の趣旨を質問できたはずであるし,また,質問すべきであった。他の団交議題で団体交渉を行った際,「(本件の)団交議題について分からなければ説明しましょうか。」と申し出たが,被申立人は何ら説明を求めようとしなかった。あるいは,被申立人は,団体交渉を行った上で,その席上で,最終的な法的判断を求めるものであるのか否かなどの説明を求めればすむことである。被申立人は,これらの手続を行うことなく,団体交渉を拒否したのである(甲4)。

第2 団交事項②が義務的団交事項であること

1 被申立人は,平成25年12月から同26年2月にかけて,管理監督者についての態度を大きく変えた。被申立人は,職務権限規程を一方的に発表し,それまで地区長に時間外手当を支払っていたにもかかわらず,その態度を急変させて地区長等への時間外手当支給を理由とする関係者に対する懲戒処分を行い,支給された時間外手当の一部自主返納を求めるという強硬な態度をとるようになった。さらに,これまで行っていた管理監督者の範囲をめぐる団体交渉についても,「組合が地区長である組合員名を明らかにしない限り団交に応じない。」との態度をとるようになった。
  被申立人のこのような態度変更の事態において,申立人は,地区長の組織拡大に直面し,地区長が労基法上の管理監督者に該当しないことを確認することが喫緊の課題であった。

2 組合の組織対象者である地区長が管理監督者に該当するかどうかは,残業代請求権の有無という労働条件問題に直結するものであり,この問題を解決することは,地区長が安心して組合に加入する条件を整えることになる。これから組合員となろうとする地区長の労働条件問題を解決することは,組合員の労働条件問題に密接に関連している。
  また,地区長が管理監督者であるとして残業代の支払がなければ,準備書面(2)で述べたように,進研社(進学舎)時代と同様に,地区長を命じられた組合員が,地区長に昇進することになると組合を脱退する蓋然性が高い。従って,地区長の管理監督者の該当性の問題は,組合員が地区長への昇進を受諾するかどうかを考慮する上で組合・組合員にとって重大な関心事であり,組合員の労働条件に重要な影響を与えるものでもあるし,組合員の労働条件に密接に関連している。
 したがって,団交事項②は組合員の労働条件問題に密接に関連している労働条件であり,義務的団交事項に当たる。

 3 地区長が管理監督者に該当するか否かの最終的な法的判断は,裁判所の司法判断にゆだねられることは事実である。しかし,地区長が管理監督者に該当するかについて,団体交渉において,①事業主の経営に関する決定に参画し,労務管理に関する指揮監督権限を認められていること,②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること,③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金(基本給,手当,賞与)上の処遇を与えられていることなどに関して説明を受けて,労基法41条2号の要件充足性の協議を経て労使間で取決められた労働協約が,裁判所の司法判断で無効だと最終的法的判断されたとしても,労使関係の運営に関する諸事項が遡って団交議題ではないということにはならない。申立人は,団体交渉において管理監督者の範囲を定める法的な最終判断を求めていたものでもない。
第3 団交拒否に「正当理由」がないこと
 以上述べたとおり,本件の団体交渉(甲17)は,組合員が存在するか否かに関係なく義務的団交事項となる。
従って,申立人が地区長たる組合員の存在を明らかにしないことは,団体交渉拒否の正当な理由とは認められない。

                                           以上



             会社 準 備 書 面 (3) 

平成26年(不)第71号
申立人  ユニオンイースト
被申立人 株式会社学究社
                                   平成27年 2月17日

東京都労働委員会会長 殿

                             被申立人代理人 弁護士 八代 徹也

                  準備書面(3)

 義務的団交事項を巡る被申立人の主張を要約する。
1.団体交渉の対象事項には、義務的団交事項と任意的団交事項とがある。
(1)義務的団交事項とは、労働組合の団交要求を使用者が正当な理由なく拒否した場合、不当労働行為(労組7条2号)となり、労働委員会の救済命令により団体交渉が義務づけられる事項である。
(2)これに対して、法によって団体交渉義務を課せられておらず、当事者が任意に団体交渉のテーマとして取上げる事項が任意的団交事項であり、団交で取上げる(議論する)ことは労使の自由であるが、この任意的団交事項について、使用者が団交要求を拒否したからといって不当労働行為となるわけではない。
2.憲法および労組法が労働協約締結に向けて団体交渉権を保障した趣旨を踏まえると、義務的団交事項とは「団体交渉を申し入れた労働組合の構成員(組合員)たる労働者の労働条件その他の待遇、または当該労働組合と使用者との団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なもの」であり(荒木尚志労働法第2版566貢)、判例もそのように解している。
 従って、労働組合は構成員たる労働者、つまり「当該組合員」の労働条件についてのみ交渉権限を有するから、非組合員の労働条件は基本的に「義務的団交事項」ではないこととなる。なお、例外として、非組合員の労働条件が組合員の労働条件・待遇に密接に関連し、重要な影響を及ぼす場合には、その限りで義務的団交事項になるとされた場合があるが(根岸病院事件の平成19・7・31東京高裁判決)、被申立人準備書面(1)で述べたように、同事件では、初任給をもとに以降の労働条件が決定される仕組みがあり、少なからぬ新規採用者が短期的に当該組合に加入していたという事情が認定されており、それ故、非組合員の労働条件でも例外と認める根拠となったのである。
 このように、非組合員の労働条件が義務的団交事項とされるのは極めて限られた場合に限定されている。
3.従って、本件で、「地区長が使用者の利益代表者や管理監督者に該当しないことの確認」を団交議題(以下、本件団交議題という)とした団交申入れ(甲17)を拒否したことが不当労働行為であると申立人は主張するところ、それが失当であることは次のとおりである。
① 地区長は組合員ではない(組合員たる疎明はない)。よって、本件団交議題は「組合員の労働条件その他の待遇」に該当しないから、義務的団交事項に当たらない。
② 仮に、非組合員の労働条件その他の待遇であっても義務的団交事項に該当する例外があるとしても、それは根岸病院事件判決で示されたように極めて限定された場合であり、本件団交議題は「非組合員の労働条件であっても組合員の労働条件・待遇に密接に関連し重要な影響を及ぼす」場合(例外事由)に該当しないから、義務的団交事項に当たらない。
③ 申立人が求めた「地区長が使用者の利益代表者や管理監督者に該当しないことの確認」という事柄は、そもそも、労働条件その他の待遇に該当しない。よって、本件団交議題は義務的団交事項に当たらない。
④ 過去に労使間で地区長の問題について団交で説明や回答、もしくは議論がなされたことがあったとしても(実際には、申立人からの質問と被申立人の回答だけであるが)、任意的に団交で質問・回答となっただけであり、義務的団交事項でないものが義務的団交事項に変わることはないのである。任意的団交事項が義務的団交事項に変わることは論理的にあり得ない。
 即ち、本来は義務的団交事項ではないが、過去に団交で取上げられた経緯があるからという理由で、義務的団交事項に変わることもないし、同じ経緯・理由をもって本件では(例外として)団交拒否になるということもない。
 要するに、本件団交議題が義務的団交事項に該当するかどうかが争点であり、過去の団交での経緯は全く関係がないのである。
                                     以 上



組合 準 備 書 面(4)



平成26年(不)第71号事件
申立人  ユニオンイースト
被申立人 株式会社学究社

準 備 書 面   (4)

平成27年4月7日

東京都労働委員会会長 殿     

申立人代理人弁護士 徳住 堅治
同         宮里 民平

第1 被申立人における組織体系とその実態
1 被申立人の組織体系
  被申立人の組織は甲1-1の通りであるが,被申立人の学習塾事業に従事する教務系と,被申立人の経営等に従事する管理系に分類される。
甲1-1で示されている第3統括本部と第1統括本部の事務局が管理系であり,それ以外の組織が教務系である。
  被申立人には,学習塾を運営する校舎ごとに校長の役職が設けられており,校長は各校舎の責任者としての地位である。また,校長の中から一定の地域をまとめる責任者として地区長(兼務)が置かれている。第2統括本部の個別指導部には校長ではなく室長の役職が設けられているが,これは,校長と同じ役割であり,個別指導校舎の責任者である。そして,個別指導部においても,室長の中から個別指導校舎の一定の地域をまとめる責任者として地区長(兼務)が置かれている。いずれも地区長は校長及び室長が兼務する。

2 校長の勤務実態と権限
⑴ 校長の勤務実態
   被申立人の校舎の運営に当たっては,近年では新規開校校舎が増加し,各校舎に正社員は一人のみで,当該正社員が校長を務め,その他は学生アルバイト等によって運営される校舎が多数を占めるようになった。
   校長の主な業務内容は塾講師としての業務であり,全日にわたり様々な授業を担当している。それに加えて,アルバイトの採用及び校舎運営の事務的作業に従事している。校長の所定業務時間は通常14時から22時(1年間の変形労働時間制のため変動あり)とされていた。勤務日について,日曜日は一般的に塾の授業は休みとされているが,オプション授業が盛んに実施されている。そして,日曜日に加えて,もう一日を休日とする週休二日制がとられている。
したがって,校長が,校舎としての数値目標設定(数値目標設定で問題となるのは生徒数,売上等である)を行うなどの事業経営に関する事項に携わることはなく,労働時間の配分の決定に関しての裁量などない状況であった。
⑵ 校長の職務権限
   職務権限表(甲5の3)によっても,校長に決定権限があるもの(◎がつけられている項目)は,アルバイトの採用(9頁),アルバイトの入社時研修(10頁),生徒のカウンセリング(14頁),教材以外の発送指示(15頁),教務系社員の人事(勤怠)管理(15頁),事務所運営管理,アルバイトの管理,校舎事務に関する事項(16頁),のみである。
⑶ 校長が利益代表者にあたらないこと
   校長は,①アルバイトの採用権限はあるものの,その他の正社員に対する人事に関して直接の決定権限は何ら有しておらず,②人事・労務の機密情報に接する管理者でもない。
したがって,校長は利益代表者にはあたらない。
⑷ 校長が管理監督者にあたらないこと
 校長は,①校舎としての数値目標設定を行うなどの事業経営に関する事項に携わることはなく,②労働時間に関する自由裁量性もない。また,③校長の給与については,会社側の説明によると校長手当5万円(室長手当3万円)が上乗せされるだけで,それ以上優遇されているわけではなく,年俸制のため一時金も支給されない。
  したがって,校長は管理監督者にはあたらない。

3 地区長の勤務実態と権限
⑴ 地区長の勤務実態
   地区長は,各校の地区責任者であるが,地区長として特別の権限や業務があるわけではない。校長を兼務する地区長は,週1回,本部で行われる地区長会議に出席する。地区長会議は,役員会及び統括本部等の上部機関で決定した事項を地区長に伝達される会議であり,経営方針等の決定を行う会議ではない。地区長は,地区長会議に出席後,地区長会議での伝達事項等を各地区の校長に伝達するのみである。地区長に担当地区の数値目標や人員管理等の決定を行う権限があるわけではない。
⑵ 地区長の権限
   職務権限表(甲5-3)をみても,地区長に決定権限があるもの(◎がつけられている項目)は,教務系社員の人事(勤怠)管理(15頁)のみであり,地区長に特別の権限や業務があるわけではないことが分かる。
⑶ 地区長が利益代表者にあたらないこと
   地区長は,①人事に関して直接の決定権限は何ら有しておらず,②人事・労務の機密情報に接する管理者でもない。
   したがって,地区長は利益代表者にはあたらない。
⑷ 地区長が管理監督者にあたらないこと
 地区長は,①担当地区の数値目標設定を行うなどの事業経営に関する事項に携わることはなく,②労働時間に関する自由裁量性もない。また,③地区長の給与については,会社側の説明によると地区長長手当6万円,副地区長手当4万5千円が上乗せされるだけで,それ以上優遇されているわけではなく,年俸制のため一時金も支給されない。当該地区長手当には校長手当も含まれている。
 したがって,地区長は管理監督者にはあたらない。

4 そして,被申立人の社員が地区長へと任命されることは多分にありうることで,地区長に残業代が支払われるか否か,利益代表者の範囲を確認することは,組合員の労働条件問題と共通ないし密接に関連するものであった。


第2 管理監督者に当たることを理由とする組合脱退の勧告について
1 はじめに
   申立人の組合員らが管理監督者に該当することを理由に,被申立人から組合の脱退を勧告された経緯については,申立人作成の平成27年1月21日付準備書面⑵(2頁)で記載したとおりである。そこで,以下,当該書面を補充・整理して主張する。

2 経緯
⑴ 株式会社進研社において
   被申立人に勤務する申立人の組合員らは,従前株式会社進研社が運営する塾部門である進学舎に勤務していた。平成19年12月株式会社進学舎が設立され,進研社の塾事業部門である進学舎が株式会社進学舎に承継された(平成20年1月,転籍によって雇用も承継された。)ことにより,組合員らは株式会社進学舎の社員となった。
   当初株式会社進研社時代には,地区長の役職は設けられておらず,管理監督者についての規程も就業規則等に記載がなかった。校長の役職に就いていた組合員ら(小山英隆・中川弘氏ら4人)についても,その時点で組合員資格について特に問題とはなっていなかった。
⑵ 管理監督者の範囲についての交渉
   株式会社進研社との間で,残業代支払請求をめぐって,管理監督者の範囲を明確にする必要が生じ,交渉の過程で会社側は「校長以上全て管理監督者である」と主張した。
しかし,権限や待遇及び対象者の人数(全従業員の約3割が管理監督者に達してしまうこと)などから組合はそれを認めなかった。
   その後,会社側は,「給与表M級=幹部用適用者で,かつ,一定の地位以上の者」という主張に変わり,平成19年に就業規則を改定した。
そうしたところ,株式会社進研社が株式会社進学舎に承継される問題が浮上し,入試の時期と重なったこともあり,管理監督者をめぐる交渉は中断した状態になった。
⑶ 株式会社進学舎において
   平成20年1月から株式会社進学舎の体制になると,同年3月,「進学舎の経営計画」の中で「地区長」の役職が置かれることが会社側から表明された。そこで示された4地区の地区長の役職には,取締役が就くこととなっていた。また,株式会社進学舎においては進研社の就業規則を引き継ぎ,管理監督者に関する規程も置かれていた。
   その後,平成20年から平成21年にかけて地区の数が増やされる等の状況の中で,前述の4人の組合員に対して,会社から,管理監督者に該当するからとの理由から組合の脱退を迫られたりしたこともあり,現実に4人は脱退した。
⑷ 株式会社学究社において
   平成24年3月,株式会社進学舎は,株式会社学究社に買収された。その際,渡された株式会社学究社の規程(就業規則,臨時社員就業規則,給与規程,定年後再雇用規程)を確認したところ,管理監督者についての記載はなかった。
そこで,平成24年11月,申立人組合は,改めて,管理監督者の範囲について団体交渉を申し入れるに至った(甲6の2)。
   なお,会社は当初管理監督者をめぐる団体交渉に応じたが,途中から態度を変更して団体交渉に応じなかったことは申立人準備書面⑵3頁に詳述した通りである。
⑸ 組合員の労働条件に密接に関連すること
   現在組合は地区長の組織化に直面しているが,上述の歴史的経過を踏まえて,地区長の管理監督者該当性に伴う残業代請求権の有無,地区長が利益代表者に該当するか否かは,組合・組合員にとって重大な関心事であり,団体交渉を行う具体的な必要性がある。
   そして,組織対象者である地区長(非組合員)が管理監督者に該当するかどうかによる残業代請求権の有無という労働条件問題の解決は,地区長たる非組合員が安心して組合に加入する条件を整えることが出来るのであり,これから組合員となるものの労働条件問題を解決することは,組合員の労働条件問題に密接に関連している。
   地区長が管理監督者や利益代表者に該当すると会社が考えた場合,前記株式会社進学舎のときと同様に,地区長を命じられた組合員に対して組合を脱退するよう勧告する蓋然性が高い。
従って,地区長の管理監督者・利益代表者の該当性の問題は,組合員が地区長への昇進を受諾するかどうか,地区長を組織化するか否かを考慮する上で組合・組合員にとって重大な関心事であり,組合員の労働条件に重要な影響を与える問題である。
              

以上





           組合 準 備 書 面(5)

平成26年(不)第71号事件
申立人  ユニオンイースト
被申立人 株式会社学究社

                準備書面 (5)
                                   平成27年5月18日

東京都労働委員会会長 殿
                              申立人代理人弁護士 徳住 堅治
                              同         宮里 民平


第1 地区長(副地区長)と校長との異動
 1 被告の組織体制は、地区の増減、地区の組織範囲の変更など、しばしば変更され、それにともない、校長が地区長(副地区長)に任命(兼任)されたり、地区長(副地区長)が兼任を解かれて単なる校長になったりすることが、しばしば起こっている。この地区長(副地区長)と校長の異動関係について、申立人が把握することは困難である(もちろん、被申立人は把握している。)。
 2 地区長(副地区長)の兼任を解かれて、単なる校長になった人には、大藤裕三、大山自貢、澤田大助、森田亮、長田真実、斉藤浩太、芝原幸男らがいる。


第2 申立人の労働組合の結成、組織変更の経過は、以下の通りである。
1 平成18年2月全労協東京労組進学舎分会(以下「進学舎分会」という。)を結成。
2 平成22年12月ユニオンイーストが結成される。
3 進学舎分会は、平成23年10月1日学究社グループユニオンに組織変更して、以降ユニオンイーストの支部として会社と交渉に臨むようになった。ただし、東京労組との関係を維持するために東京労組進学舎分会という名称も引続き使用していた。
  なお、この時点では進学舎は、被申立人の子会社であったが、将来被申立人に吸収合併されると判断して、名称を学究社グループユニオンとした。現実に、平成24年4月進学舎は被申立人に吸収合併された。
4 平成25年3月進学舎分会は、全労協東京労組を脱退して、以後ユニオンイースト学究社グループユニオン支部としてのみ活動してきた。

                                           以上




             会社 準 備 書 面(4 )


平成26年(不)第71号
申立人   ユニオンイースト
被申立人  株式会社学究社

                                      平成27年6月5日               

東京都労働委員会会長 殿

                             被申立人代理人 弁護士 八代 徹也    

                準備書面(4)


1.本件は、学究社グループユニオン及び申立人の連名で被申立人(以下、会社)に団交を求められた甲17の議題を巡る問題であり、甲17で要求された団交議題は、地区長は利益代表者に該当しないことの確認及び地区長は督薗監督者に該当しないことの確認である。そこで、以下のとおり主張する。
2.申立人は、2011年(平成23年)10月に結成されたとのことである(甲6の1の冒頭)。しかし、「学究社グループユニオン」の名義で会社に通知がなされたのは、2012年(平成24年)5月21日である(乙1)。同年4月23日付「質問」と題する文書では、従前と同じ、全労協全国一般東京労働組合(進学会分会)名義である。
学究社グループユニオンと申立人の関係は会社には全く説明されていないので、会社には分からない。前者は後者の所謂手足であり独立した労働組合ではないのか、前者も後者も各々独立した労働組合であり、独立した労働組合が申立人に加盟しているのか等一切不明である。
また、従前会社と団体交渉を行っていた全労協全国一般東京労働組合(進学会分会)をいつ脱退したのか等同労働組合との関係についても学究社グループユニオンから説明はないので会社には不明である。
3.労働組合はそれぞれの設立趣旨目的こ沿って紐合員を糾合し活動するものであるから、対向関係にある使用者との関係は、その労働組合名義で通知がなされて以降を論ずるのであって、それ以前を論ずる必要もないし、論じてはならない。本件でいえば、全労協全国一般東京労働組合と学究社グループユニオンは別の組織であるから、全労協金国一般東京労働組合から申立人の組合員が脱退したのであり、一方、全労協全国一般東京労働組合は現在も存在しているのであるから、同労働組合時代における会社との対向関係は全く意味がない(申立人組合員が全労協全国一般東京労働組合とは別の組織を結成した以上、同労働組合の趣旨目的あるいは方針に賛同できないから脱退したのであろう)。
また、労働組合は自主独立した組織であり、本件は同時期に併存する労働組合間の不平等取扱の問題ではないから、過去に申立人の組合員が所属していたという全労協全国一般東京労働組合時代のことを論ずる必要も意味もない。
従って、本件においては、平成24年5月21日付の学究社グループユニオン名義での通知がなされた以降における上記甲17の議題に関する対応を諭ずれば足り、それ以前の対応を論じてはならないし、全く意味を持たない。
4.甲17の議題についていえば、次のとおりである。
(1)学究社グループユニオンから平成24年11月5日付12年第5回団交申し入れ書において、学究社における管理監督者の範囲について質問があった(乙2)。会社は同年11月9日付回答書で、副部長・副地区長以上が管理監督者である旨の回答をした(乙3)。
その後、学究社グループユニオンから、上記管理監督者の処遇(手当)に関する質問があり、会社は文書回答した。
(2)即ち、学究社グループユニオンから、会社における労基法上の管理監督者の範囲及びその処遇(具体的には手当)について質問があり、会社は、これに回答したというだけであり、地区長が管理監督者に該当しないことの確認や、地区長が利益代表者に該当しないことの確認について、団体交渉で協議した事実は全くない。もとより、学究社グループユニオンからの上記質問と会社回答が団交(協議)に該当することもない。
(3)よって、学究社グループユニオン名義での初めての通知があった平成24年5月21日以来現在に至るまで、甲17の「地区長が利益代表者に該当しないことの確認、地区長が管理監督者に該当しないことの確認」について、会社は学究社グループユオン(ないし申立人)と団交を行った事実はない。
5.甲17の議題は、義務的団交事項ではないので団交しない、また、管理監督者あるいは利益代表音に該当する組合員が学究社グループユニオンに在籍することの証明がないので団交しない旨の会社の対応は終始同じである。
従って、甲17の議題に関して学究社グループユニオンに対する対応が過去と現在で変化したという事実はない。
6.そもそも、本件において、会社の学究社グループユニオンに対する対応が変化したかどうかを問題とする必要がないこと、法律上意味のないことは会社準備書面(3)2頁3⑥のとおりであることを再度述べておく。
以上1.本件は、学究社グループユニオン及び申立人の連名で被申立人(以下、会社)に団交を求められた甲17の議題を巡る問題であり、甲17で要求された団交議題は、地区長は利益代表者に該当しないことの確認及び地区長は督薗監督者に該当しないことの確認である。そこで、以下のとおり主張する。
2.申立人は、2011年(平成23年)10月に結成されたとのことである(甲6の1の冒頭)。しかし、「学究社グループユニオン」の名義で会社に通知がなされたのは、2012年(平成24年)5月21日である(乙1)。同年4月23日付「質問」と題する文書では、従前と同じ、全労協全国一般東京労働組合(進学会分会)名義である。
学究社グループユニオンと申立人の関係は会社には全く説明されていないので、会社には分からない。前者は後者の所謂手足であり独立した労働組合ではないのか、前者も後者も各々独立した労働組合であり、独立した労働組合が申立人に加盟しているのか等一切不明である。
また、従前会社と団体交渉を行っていた全労協全国一般東京労働組合(進学会分会)をいつ脱退したのか等同労働組合との関係についても学究社グループユニオンから説明はないので会社には不明である。
3.労働組合はそれぞれの設立趣旨目的こ沿って紐合員を糾合し活動するものであるから、対向関係にある使用者との関係は、その労働組合名義で通知がなされて以降を論ずるのであって、それ以前を論ずる必要もないし、論じてはならない。本件でいえば、全労協全国一般東京労働組合と学究社グループユニオンは別の組織であるから、全労協金国一般東京労働組合から申立人の組合員が脱退したのであり、一方、全労協全国一般東京労働組合は現在も存在しているのであるから、同労働組合時代における会社との対向関係は全く意味がない(申立人組合員が全労協全国一般東京労働組合とは別の組織を結成した以上、同労働組合の趣旨目的あるいは方針に賛同できないから脱退したのであろう)。
また、労働組合は自主独立した組織であり、本件は同時期に併存する労働組合間の不平等取扱の問題ではないから、過去に申立人の組合員が所属していたという全労協全国一般東京労働組合時代のことを論ずる必要も意味もない。
従って、本件においては、平成24年5月21日付の学究社グループユニオン名義での通知がなされた以降における上記甲17の議題に関する対応を諭ずれば足り、それ以前の対応を論じてはならないし、全く意味を持たない。
4.甲17の議題についていえば、次のとおりである。
(1)学究社グループユニオンから平成24年11月5日付12年第5回団交申し入れ書において、学究社における管理監督者の範囲について質問があった(乙2)。会社は同年11月9日付回答書で、副部長・副地区長以上が管理監督者である旨の回答をした(乙3)。
その後、学究社グループユニオンから、上記管理監督者の処遇(手当)に関する質問があり、会社は文書回答した。
(2)即ち、学究社グループユニオンから、会社における労基法上の管理監督者の範囲及びその処遇(具体的には手当)について質問があり、会社は、これに回答したというだけであり、地区長が管理監督者に該当しないことの確認や、地区長が利益代表者に該当しないことの確認について、団体交渉で協議した事実は全くない。もとより、学究社グループユニオンからの上記質問と会社回答が団交(協議)に該当することもない。
(3)よって、学究社グループユニオン名義での初めての通知があった平成24年5月21日以来現在に至るまで、甲17の「地区長が利益代表者に該当しないことの確認、地区長が管理監督者に該当しないことの確認」について、会社は学究社グループユオン(ないし申立人)と団交を行った事実はない。
5.甲17の議題は、義務的団交事項ではないので団交しない、また、管理監督者あるいは利益代表音に該当する組合員が学究社グループユニオンに在籍することの証明がないので団交しない旨の会社の対応は終始同じである。
従って、甲17の議題に関して学究社グループユニオンに対する対応が過去と現在で変化したという事実はない。
6.そもそも、本件において、会社の学究社グループユニオンに対する対応が変化したかどうかを問題とする必要がないこと、法律上意味のないことは会社準備書面(3)2頁3⑥のとおりであることを再度述べておく。

                                           以上




           組合 準 備 書 面(6)

平成26年(不)第71号事件
申立人  ユニオンイースト
被申立人 株式会社学究社

                準備書面 (6)
                                   平成27年7月23日

東京都労働委員会会長 殿
                              申立人代理人弁護士 徳住 堅治
                              同         宮里 民平



第1 被申立人における校長と地区長の異動について
 
申立人準備書面⑸で主張したとおり,地区長(副地区長)と校長の異動関係について,申立人が把握することはなかなか困難である。
しかし,会社組織図についての,2013年度(甲1の2)と2014年度(甲1の1)とを比較検討しただけでも,次頁のとおり,地区長(副地区長)と校長の間で頻繁に異動が行われていることが分かる。地区長職を解かれた者が5名,副地区長職を解かれた者が7名,新たに地区長職を命じられた者が8名となっている。
したがって,校長が地区長(副地区長)に異動になる蓋然性は高く、これまで主張したとおり,地区長(副地区長)に就任したことを理由に組合からの脱退を求められた経緯も踏まえれば,組合及び組合員にとって、地区長が利益代表者に該当するか否か、地区長が管理監督者に該当するか否かは、密接に関連した極めて重要な問題である。

○地区長でなくなった者(5名)
氏名  2013年 10月10日  2014年  3月3日
 宮村 徹  国立地区長・国分寺校長  理事・国立校長
 関根 益男  東京地区長・西葛西校長  西葛西校長
大藤 祐三   南部地区長・戸越銀座校長  戸越銀座校長
 森本 将一郎  西武線1地区長・ひばりが丘校長  理事・小中第二教務部部長・ひばりが丘校長
 栗崎 篤史  執行役・京王線2地区長・調布校長  執行役・本部部長・調布校長

○副地区長でなくなった者(7名)

   20131010  201433
 米田 暁比古  国立副地区長・高幡不動校  勝どき校
 佐々木 浩行  中央線副地区長・荻窪校  小岩校
 矢澤 桂  青梅線副地区長・秋川校  秋川校
 青木 重  東京副地区長・中野坂上校  蒲田校
 芝原 幸  西武線2副地区長・久米川校  久米川校
 斉藤 浩  京王線1副地区長・八幡山校  八幡山校
 原口 翔  京王線2副地区長・若葉台校  若葉台校

○地区長になった者(8名)

   20131010  201433
 志水 次  立川北口校  中央線西地区長・立川北口校
 佐々木   中学部副部長・武蔵関校  西武新宿線地区長・武蔵関校
 榎本 哲章  中学部  神奈川町田地区長・鶴川校
 森下 秀昭  東部副地区長・本駒込校  都心地区長・本駒込校
 室木   八王子副地区長・西八王子校  八王子地区長・西八王子校
 山口   西武線1副地区長・大泉学園校  西武池袋線地区長・大泉学園校
 野田 武志  小田急副地区長・祖師ヶ谷大蔵校  小田急八王子地区長・祖師ヶ谷大蔵校
 田村 真吾  南部副地区長・用賀校  東急線地区長・用賀校
第2 地区長が管理監督者に該当するか否かが義務的団交事項にあたること(組合員の労働条件と密接不可分であることについて)
   
 上述したとおり、組合員である校長が地区長に異動となる蓋然性は高い。そして、現実に組合員が地区長へ異動となった場合、地区長が管理監督者として取り扱われている状態では、組合員の残業代が支払われないことになる。
これはまさに組合員の労働条件に密接に関連する事項であり、地区長が管理監督者に該当するか否かは、組合員の労働条件に密接に関連するものであるといえる。

以上